ホーム > 江目宏樹 准教授、城野雅斗 修士学生、川井喜与人 研究支援者が令和6年度消防防災科学技術賞 優秀賞を受賞しました。

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江目 宏樹

江目宏樹 准教授、城野雅斗 修士学生、川井喜与人 研究支援者が令和6年度消防防災科学技術賞 優秀賞を受賞しました。

江目宏樹 准教授、城野雅斗 修士学生、川井喜与人 研究支援者が令和6年度消防防災科学技術賞 優秀賞を受賞しました。

2025.01.29

【本件のポイント】 
●火災からの輻射熱を遮蔽するため、ミスト層の最適水滴径を数値解析と実験により定量的に評価し、その設計指針を提案しました。
●ミスト層を活用することで、火災現場や高温環境での安全性向上や延焼防止が可能になり、効率的かつ環境負荷の少ない熱制御技術の実現が期待されます。
●学生教育として、最先端の消防防災技術に携わることで、実践的な研究スキルや解析手法を学び、社会的に重要な課題に貢献する力を養うことができ、その成果が受賞という形で証明されました。


【概要】
山形大学 大学院 理工学研究科 機械システム工学専攻の江目宏樹 准教授、城野雅斗 氏(修士一年)、川井喜与人 研究支援者と八戸工業専門学校の古川琢磨 准教授、および東北大学流体科学研究所の岡島淳之介 准教授の研究グループが作品名「ウォーターミストによる火災熱輻射の遮蔽の高機能化」で令和6年度消防防災科学技術賞 消防防災科学論文で優秀賞を受賞しました。
消防防災科学技術賞は、消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性化に資することを目的に、消防防災機器等の開発・改良、消防防災科学に関する論文及び原因調査に関する事例報告の分野において、優れた業績をあげた等の個人又は団体を消防庁長官が表彰する制度です。本賞の授賞式は令和6年11月22日に三鷹市公会堂にて実施されました。
火災輻射は火災の拡大(延焼)を助長しています。ウォーターミストは消火技術として広く用いられてきました。しかし、その消火性能は着目されていますが、輻射による延焼を防ぐ用途としては実用化されていませんでした。本研究の目的は、輻射を効果的に遮蔽するため、輻射伝熱解析を用いてウォーターミスト中の水滴の最適なサイズを決定することです。ミスト層の輻射伝熱解析を行い、ミスト層の反射率は水滴径によって制御できることが示されました。また、熱源からの輻射遮蔽機能を最大化するためにミスト層の水滴サイズを最適化することの有効性を、ミストの輻射遮蔽性能を評価する実験によって検証し、本研究の正当性を実証しました。

【背景】
大規模火災において輻射熱は、物体の延焼や避難者と消防職員の火傷を引き起こすなど、その影響は深刻なものである。従来の消火設備ではウォーターミストを用いて炎の消火を行っている。ミスト噴霧は、スプリンクラー、パイプ、携帯用送風機、送風車、消防車両用自衛スプレー、火災の延焼を防止するためのウォータースクリーンホース、ドレンチャー、海洋施設や輸送船上での防火など、消火設備内で使用することができる。この設備を改良し、従来の設備に輻射熱の遮蔽性能を付与することが望まれている。

【研究手法・研究成果】
輻射熱遮蔽に最適な消火設備の設計指針として、水粒子の輻射特性やウォーターミストの輻射遮蔽性能を定量的に評価することが重要である。本研究では、輻射熱伝達解析を実施し、火災からの輻射熱伝達を最小化するため、最適な水滴サイズを導出した。広範囲の水滴径と波長に対して、単一水滴の輻射特性を計算した。ミスト層をモデル化し、ミスト層内の輻射伝達を解析した。さらに、スペクトル反射率に対する水滴径の影響を定量的に議論するため、新たな評価パラメータである全炎反射率を定義した。そして、これまでの研究よりもより微細なミストの噴霧ノズルを用いた実験を行った。そして、輻射遮蔽性能を評価する実験を実施し、解析結果と実験結果を比較することで最適な水滴径を確認した。

【今後の展望】
本研究で開放系散乱性媒体のスペクトル特性とそれに伴い発達する熱流動場を解明することで、消火ホースのノズル部分に応用するなど、火炎のみならず、ふく射伝熱の広がりも抑制可能となる高機能消防装置の開発や消防防災設備への幅広い貢献が期待できる。ふく射遮蔽設備の実現により、給油取扱所の防火塀までの間に多大なふく射減衰が見込まれれば、消防法に定められる給油取扱所の設置基準(消防危)の緩和等にも繋がり、安全安心な社会の構築に貢献できる。

【謝辞】
本研究はJSPS科研費(JP17K14609, 21K14087),総務省消防庁「消防防災科学技術研究推進制度」の助成を受けて行われた。また、本研究は、東北大学流体科学研究所の共同研究事業の一環として行われた。ここに記して謝意を示す。


※用語解説
1.スペクトル反射率:物体の表面が特定の波長の光をどれだけ反射するかを表す量で、反射率の波長依存性を示すものです。スペクトル反射率は、波長によって異なります。これにより、物体の色や特性が波長ごとに分光的に解析できます。材料の種類や表面の仕上げ(粗さ、コーティングなど)によって変化します。例えば、金属や誘電体の反射特性は大きく異なります。

【本件のポイント】 
●火災からの輻射熱を遮蔽するため、ミスト層の最適水滴径を数値解析と実験により定量的に評価し、その設計指針を提案しました。
●ミスト層を活用することで、火災現場や高温環境での安全性向上や延焼防止が可能になり、効率的かつ環境負荷の少ない熱制御技術の実現が期待されます。
●学生教育として、最先端の消防防災技術に携わることで、実践的な研究スキルや解析手法を学び、社会的に重要な課題に貢献する力を養うことができ、その成果が受賞という形で証明されました。


【概要】
山形大学 大学院 理工学研究科 機械システム工学専攻の江目宏樹 准教授、城野雅斗 氏(修士一年)、川井喜与人 研究支援者と八戸工業専門学校の古川琢磨 准教授、および東北大学流体科学研究所の岡島淳之介 准教授の研究グループが作品名「ウォーターミストによる火災熱輻射の遮蔽の高機能化」で令和6年度消防防災科学技術賞 消防防災科学論文で優秀賞を受賞しました。
消防防災科学技術賞は、消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性化に資することを目的に、消防防災機器等の開発・改良、消防防災科学に関する論文及び原因調査に関する事例報告の分野において、優れた業績をあげた等の個人又は団体を消防庁長官が表彰する制度です。本賞の授賞式は令和6年11月22日に三鷹市公会堂にて実施されました。
火災輻射は火災の拡大(延焼)を助長しています。ウォーターミストは消火技術として広く用いられてきました。しかし、その消火性能は着目されていますが、輻射による延焼を防ぐ用途としては実用化されていませんでした。本研究の目的は、輻射を効果的に遮蔽するため、輻射伝熱解析を用いてウォーターミスト中の水滴の最適なサイズを決定することです。ミスト層の輻射伝熱解析を行い、ミスト層の反射率は水滴径によって制御できることが示されました。また、熱源からの輻射遮蔽機能を最大化するためにミスト層の水滴サイズを最適化することの有効性を、ミストの輻射遮蔽性能を評価する実験によって検証し、本研究の正当性を実証しました。

【背景】
大規模火災において輻射熱は、物体の延焼や避難者と消防職員の火傷を引き起こすなど、その影響は深刻なものである。従来の消火設備ではウォーターミストを用いて炎の消火を行っている。ミスト噴霧は、スプリンクラー、パイプ、携帯用送風機、送風車、消防車両用自衛スプレー、火災の延焼を防止するためのウォータースクリーンホース、ドレンチャー、海洋施設や輸送船上での防火など、消火設備内で使用することができる。この設備を改良し、従来の設備に輻射熱の遮蔽性能を付与することが望まれている。

【研究手法・研究成果】
輻射熱遮蔽に最適な消火設備の設計指針として、水粒子の輻射特性やウォーターミストの輻射遮蔽性能を定量的に評価することが重要である。本研究では、輻射熱伝達解析を実施し、火災からの輻射熱伝達を最小化するため、最適な水滴サイズを導出した。広範囲の水滴径と波長に対して、単一水滴の輻射特性を計算した。ミスト層をモデル化し、ミスト層内の輻射伝達を解析した。さらに、スペクトル反射率に対する水滴径の影響を定量的に議論するため、新たな評価パラメータである全炎反射率を定義した。そして、これまでの研究よりもより微細なミストの噴霧ノズルを用いた実験を行った。そして、輻射遮蔽性能を評価する実験を実施し、解析結果と実験結果を比較することで最適な水滴径を確認した。

【今後の展望】
本研究で開放系散乱性媒体のスペクトル特性とそれに伴い発達する熱流動場を解明することで、消火ホースのノズル部分に応用するなど、火炎のみならず、ふく射伝熱の広がりも抑制可能となる高機能消防装置の開発や消防防災設備への幅広い貢献が期待できる。ふく射遮蔽設備の実現により、給油取扱所の防火塀までの間に多大なふく射減衰が見込まれれば、消防法に定められる給油取扱所の設置基準(消防危)の緩和等にも繋がり、安全安心な社会の構築に貢献できる。

【謝辞】
本研究はJSPS科研費(JP17K14609, 21K14087),総務省消防庁「消防防災科学技術研究推進制度」の助成を受けて行われた。また、本研究は、東北大学流体科学研究所の共同研究事業の一環として行われた。ここに記して謝意を示す。


※用語解説
1.スペクトル反射率:物体の表面が特定の波長の光をどれだけ反射するかを表す量で、反射率の波長依存性を示すものです。スペクトル反射率は、波長によって異なります。これにより、物体の色や特性が波長ごとに分光的に解析できます。材料の種類や表面の仕上げ(粗さ、コーティングなど)によって変化します。例えば、金属や誘電体の反射特性は大きく異なります。